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プロローグはこちら https://www.pixiv.net/fanbox/creator/355065/post/418529

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破滅願望   原作:M月  イラスト:朝凪  制作:fatalpulse

11話 男と女

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 月だけが耿々(こうこう)とかがやいている闇夜には、うっすらと暗い雲が広がっている。夜空はまるで何かを隠匿するための覆い布のようで――そうすれば、その中に包まれているものは、ほかならぬ私だ。

 この秘匿の世界で禁じられたものは何もない。すべてがなかったことにされ、すべてが不問に付され、すべてが影絵として片づけられる。

 たとえ、影絵の男が影絵の女を凌辱したとして、それが何の意味を持つのだろう。

 一歩一歩と足を運ぶたび、私は自分が暗闇にのまれて影絵になっていくのを感じていた。

(たしかに……たしかに、私はマゾよ? 敵対していた男に自分から犯されに行くような雌豚よ? でも、雌豚には雌豚のプライドがあるはずよ……たぶん)

 少しムッとした顔で私は沈思する。

(元はといえば、アズライト家の令嬢。今は身をやつしたといっても、仮にも騎士団長の雌豚。

 あんな弱小貴族の出で、私から見ても私の主人――バルガス――から見ても部下のやつらなんて、いくら私が雌豚だとしても格下じゃない。それなのに、そんなやつらの言いなりにならないといけないなんて……)

 今では国王ですら一夫一妻の世の中で、夫と妻は対等な時代であるけれど、かつて夫が妻より圧倒的な優位にあって一夫多妻が当たり前であった時代――そんなときにはよくあった話。

 国王が家来に褒美として自分の妻を下賜するということ。

 それはもちろん、国王にとっては飽きてきた妻が選ばれたことだろう。家来からみれば、一度は国王の妻だった高貴な女をもらえるというのは、栄誉としても男としてもふたつとない歓びだろう。

 でも、褒美の品とされた妻の側はどんな思いだったことか――。

 私はふと、そんなことを思った。

 雌豚とはいえ、その首輪につけられた札には「騎士団長バルガス専用」という言葉が銘記されていたはずだ。

 それが、いとも簡単にその札が取り外され、卑しい男どものはびこる野へ放逐されてしまうなんて。

 これがバルガスによる一種のサディスティックなプレイなのだと思っても、やっぱり嫌悪感がどこか否めない。

 私は決してただの豚になったわけではなかった。女を支配する、まごうことなき覇者の風格のある男根を持つ男の豚になったのだ。

(そうよ、私はバルガスの命令だから仕方なくやるだけ。私はバルガスに服従しているのであって、あの雑魚どもに服従するわけじゃない)

 しかし、そう理屈では分かっていても……やっぱり、私はバルガスと違い雄として何の魅力もないあの雑魚どもにみずから白旗をあげて言いなりになりに行くのだった。

 一時の貸与とはいえ、まるで主人であるバルガスに捨てられたかのようなある種のショック。一時のお勤めとはいえ、まるであの雑魚たちよりも格下になるかのような屈辱感。

 生粋のマゾであるなら喜ぶべきなのかもしれないが、それは意外にも受け入れがたく、私の心をチクチクと不快につつくのをやめなかった。

 人が多くいるはずのに、城内は夜になると意外に静かだった。その静寂の中に、カツン、カツンとブーツが大理石の廊下を蹴る音が響く。

 この足音一つずつが「お前はあの男に捨てられたんだ! 自分から雌豚になったのに、酷いザマだな!」、「お前はこれからあの雑魚どもの奴隷になるんだ! 地べたを這いずりまわる方がお似合いだな!」などと私をからかっているような気がした。

 しかし、これはれっきとした「仕事」だ。

 私を一晩貸与することが騎士団における規則になったのなら、これは城内の人間としての仕事だ。それがバルガスによる命令なのだったら、これは彼に絶対服従の雌豚としての仕事でもある。

 高貴なる貴族の娘らしく、それがどんな内容であれ、自分の仕事には責任を持たねばならないという躾(しつけ)が私にはしっかりとなされていた。

 一抹の嫌悪感が拭えないのに、契約魔術の縛りなしに自分の意思で動いている理由はそれだ。貴族としての躾が、いわば、今は私への淫紋として機能していた。

(い、いいわよ……やってやろうじゃない。ここは仕事だと割り切って、あいつらの慰問係りを務めあげてやろうじゃない。そうすることこそが、私の、バルガスの雌豚としてのプライドよ)

 こうなったら、とびきり可愛く振る舞って、私をめちゃくちゃにしようと息巻いているあいつらを返り討ちにしてやるわっ! 見てなさい、最後には骨抜きにしてやるんだからっ――!

 そう、私は意気込んだ――。

 長い廊下を進んだ先のある一室。そこが約束の場所だった。

 この厳めしい扉の向こうに、今夜一晩私を手にする男がいる。私を景品とした報奨制度が作られて、今夜がその最初の夜だった。

 頭には、見事にバルガスから賞賛の言葉を引き出した部下の顔が浮かぶ。最初の受賞者が自分に決まった時の、ニタニタとした不敵な笑みを思いだす。

 あのうっすらと髭を伸ばした男は、そうして私の身体を舐めるように見つめていた。

 きっと、あの男はわくわくしながら待っているだろう。ベッドの上でそわそわと落ち着きなく、私という一級品を一晩モノにできることを思って跳ねていることだろう。

 そんなガキっぽい姿を想像しながら、私はそっと扉を開いた――。

「は、入るわよ……って、え?」

 が、扉を開くと、その男は私のすぐ目の前に仁王立ちしていた。

「やっと来たか。遅ぇぞ、雌豚」

 まさか扉のすぐ前で待っているとまでは思っていなかったことによる驚きと、目の前に立ちはだかる男の想像していた以上に迫力ある体格への驚きとが、私から言葉を奪った。

 と、次の瞬間――。

「いッ、いたたッ、いたいいたい痛いッ!」

「ほら、さっさと来いっ!」

「きゃッ!」

 そいつは私の髪を乱暴につかんで引っ張り、最後には半ば投げ飛ばすように床へ押し倒した。

「はぁー、待ちくたびれたぜホント」

「いっ、いったぁっ……って、えっ、ええっ! な、なんでこんなにいっぱいいるのよ!? バルガス様から私を貸し出されたのは貴方一人だけのはずでしょっ!?」

 私の周りを数人の男たちが半裸で取り囲んだ。

「いいだろ、別に。俺が呼んだんだ」

 と、私を今夜勝ち取った男が言った。

「お前は今夜一晩俺の好きなようにしていいはずだ。だったら、仲間を呼んで輪姦ってのも、もちろんアリだよなぁ?」

 ぐいっと、六人全員が一歩前に詰め寄った。

 訓練場では、私の魔術の前には虫けら同然だったせいか、彼らはそんなに大きく思えなかった。

 しかし、こうして筋骨隆々とした肉体をむきだしにして迫る彼らを見ると、私よりも頭ひとつふたつは大きいその体躯、脂肪ばかりの私とは正反対に無駄一つなく鍛え抜かれた刃物のような強靭な威圧感にゾクゾクと恐怖にも似た思いを抱き、今度は自分が虫けらのように気がした。

 魔術を抜きにした私なんて、しょせんはこんなチビなメスガキなのだ――。

「へへっ、昼間はよくもこってりしごいてくれたなぁ? もう疲れちまってよー、可愛い可愛い賞品ちゃんが労ってくれるのをずっと待ってたんだぜ?」

「そうそう。ほら、副団長……じゃなかった、雌豚よぉ。お前が副団長としてうちにやってきた日、団長にパコパコ犯されながらなんて言ったか覚えてるか?」

「あれ、もう一回言えよ。やっぱり何事もはじまりのアイサツって大事だもんなー。ほら」

 昼間は私の魔術に責めたてられてヒィヒィと叫んでいた男が、はるか真上から見下すような目で私を見ていた。

(こ、こいつら、調子に乗って……)

 でも、私は何も抗えない。

 その理由を、私は今から再び口にさせられるのだ。

「さっさと言え、雌豚」

 私は、らしくもなく上目遣いを作って、小さく口を開いた。

「ば、バルガス様の役に立った団員は、リアのいやらしい身体を使って、精いっぱい労います……。そのときは一晩だけ、副団長じゃなくて、雌豚として可愛がってください……。わ、私は……皆さまの疲れを癒すための、肉便器になりますっ……」

 服従を誓う、屈辱的なセリフ――。

 しかし、彼らはそれを聞いてドスのきいた低い声を漏らした。

「あぁ? お前、あのときそんな口調じゃなかっただろ? ちゃんとあのときみたいに言えっつーの、オラッ!」

「きゃひいいいぃいいぃぃぃッ!♡」

 いきなり握りつぶされる左の乳房。

 その手はおそろしいほど無遠慮で、おっぱいがちぎりとられそうな力だった。

 激しい訓練で鍛え上げられ鋼のように皮膚が固くなった指先は、私のぷにぷにの柔らかい女の指先とは違い、私の女々しい身体を男らしく好き勝手に蹂躙する。

「おっ、そうそう。そんな声だったよなぁ、たしか」

「やっ、やぁッ……! ちょ、こんないきなりっ――」

 痛みと快感に思わずつぶった目を開くと、眼前には大きな手が何本も差し迫っていた。

「ひッ――!」

 その手たちは乱暴に私から服を奪いとった。あっという間に、四肢以外につけていた衣類はすべて剥ぎとられてしまい、生肌があらわにされた。

 その肌を肉ごとつかむ手、手、手――! おっぱいは別々の男の手によって片方ずつ改めて揉みつぶされ、腰のあたりをがっちりと爪を立ててつかむ手もあれば、太ももを撫でて味わう手もある。

 そして、また別の手が私の頬をつかんでつぶした。

「あぶうぅぅぅッ!♡」

「はははっ、そうそう! こういうマヌケな顔で言ってみれば、あのときみたいになるんじゃねーか?」

「や、やめひぇッ、んぶふッ!♡」

「ほらっ、それでさっきと同じセリフ言ってみろよ」

 そして、ついに彼らの手は私のむっちりとした脚を造作もなく開くと、当然のように硬くなっていたクリトリスをギュッとつまみあげたのだった――。

「ぐひゅひぃいいぃぃぃ……ッ!♡」

「さっさと言えっ、雌豚がっ!」

 バリバリと電気が走るような感覚が、クリトリスから脊髄を駆けのぼった。

「ばっ、バルガひゅしゃまの役に立った団員はぁッ、リアのいやらひぃ身体をちゅかってッ、しぇいいっぱい労いまひゅうぅうぅッ……!♡ しょのときは一晩らけぇッ、めひゅ豚とひて可愛がってくらひゃひいぃいぃぃッ……!♡ わらひは皆ひゃまのちゅかれを癒すためのッ、肉便器になりまひゅうううぅうぅぅぅぅ……!♡」

 私はまた、あのときと同じくらい情けない雌声でそう叫んだのだった――。

 髪をつかまれ、半分這いつくばるようにしながら私は引き摺(ず)られていく。散歩を嫌がる犬が強引にリードで引っ張られているような惨めな姿。普通に歩かせてさえもらえない。

 この部屋の奥には、扉を介してもう一つ別の部屋があった。大きなベッドがあって、いかにもセックスをするのに適した部屋だ。

 私を引き摺る男が扉のノブに手をかけた。そのとき、向こう側で獣がうなるような声が聴こえた。

 ガチャリ――。

「あ”ーっ♡ おおっ♡ おげっ♡ いひーっ♡!!」

「……えっ」

「おおぉっ、んおぉおぉぉっ♡!! はひっ、おへえぇっ♡!!」

 扉の向こうから聴こえてきた声は何年間と聴きなれた声であり、同時に近頃までは聴いたことのないような声――つまり、セラが我を忘れて性的快楽に陶酔している声だった。

「良くも散々見下してくれたなぁ? メイドの分際でよぉ!

 ちょっと尻触ろうとしただけで投げ飛ばされた事忘れてねぇぞ!」

「アズライト家お付きのメイドだったからってお高くとまりやがって、騎士様をなんだと思ってるんだぁ!?」

「おっ♡ はひぃ♡ ごめんなさいぃ♡ ごめんなさいぃ♡」

「このクソまんこにもたっぷり礼儀を叩きこんでやるからなっ! 覚悟しろよっ!」

「はひぃいいぃっ♡ おへっ、あひぃいいぃっ♡!!」

 セラは犯されていた。バルガスの部下たちに凶悪なペニスを差し向けられ、またはぶちこまれ、ぼろ雑巾のような扱いで犯されていた。

「せ、セラ……? なっ、なんでセラがっ……!」

 その部屋は乱れていた。

 床には破り捨てられたセラのメイド服があり、空の酒瓶があり、そして使い終わったあとの注射器と薬瓶がある。その量は明らかに過剰で、セラが正気をやるまで麻薬漬けにされていることを一目で分からせてくれた。

「どうだ、驚いただろ? 今日の団長はすこぶる機嫌が良くてなぁ、輪姦しようと思うって言ったら、雌豚が一匹じゃ足りないだろうってな」

「そうそう。廊下で声をかけたときには生意気な目で睨んできやがったが、団長のお許しが出てるって言えば、無抵抗になりやがってよぉ。

 ムッとした顔のままだったのがムカついたから、一発ビンタをくらわせてやってから、今のお前みたいに、髪をつかんでここまで引き摺ってきてやったんだ」

「それでも生意気なもんで、俺たちごときに喘がされてたまるもんか、みてぇな目でずっとすましてやがるんだ。バカな雌豚だぜ。

 おかげで、言いなりになるまで団長からもらった麻薬打ちこまれて、今じゃあのザマだ」

「ひ、ひどい……」

 この間、自分もセラを今と同じような状況に追い込んだということは棚にあげて、私はそうつぶやいた。

 セラの姿はあまりに惨めだった。

 クールなメガネはズレ落ちて、かけ直す余裕さえ与えてもらえない。髪の毛も顔も、涎や汗や卑猥な汁でぐちゃぐちゃ。両手でペニスをシゴかされ、セックスしながらおっぱいは握りつぶされていた。

「おいおい、何が酷いんだよ? 雌豚が騎士である俺たちに生意気な目をしたら、ああして折檻されるのは当然だろう?」

「ぐっ……」

 ねちっこい、卑俗な口振りで私にそうささやく男。同時に、髪を引っつかむ手に力が入り、頭皮にギリギリと痛みが走る。

 他の男がごそごそとポケットをあさり、麻薬の入った薬瓶を取り出して私に見せつけるように揺らした。

 この問いかけは、セラについてのことであると同時に、私についてのものでもあった。

 もしここで私が「当然です」と答えれば、私もまたセラと同じ目にあわねばならない。だが、もし「それはおかしい」と答えれば、何はどうあれバルガスの言いつけを守らなかったことになる。

 いくらマゾとはいえ、いくらその願望があるとはいえ、私もセラもそこまで落ちぶれるには高貴なプライドの中で育てられすぎた。バルガスのような男ならともかく、こんな無名のチンピラどもに、麻薬で家畜以下の地位に貶められるのは我慢ならなかった。

 それでも……。

(が、我慢よっ……我慢しなさい私っ。これは「仕事」なんだから……。

 あくまでも、副団長としての務め……バルガスの部下としての務めだから……)

 私は自分を律した。

「バルガスの奴隷」という分(ぶ)を弁えるために、「このチンピラよりは格上」という分を踏み越えなくちゃならないと思った。

 しかし――私が男の質問に肯定で返事しようとしたのを察したのか、薬瓶を手にしている男が挑発するように言った。

「この麻薬ってのはすげぇな? お高くとまった女から、雌の本性をさらけださせるんだ。

 いつか、こいつを馬鹿みたいな乳したお前のトロそうな母親にも打ちこんで、俺のチンポの前で土下座させてやるよ」

「……ッ!」

 私は両親に愛されて育った娘だった。

 だから、こんな破滅的なまでのマゾの雌豚に育ってしまったことは申し訳ないけれど、両親のことを侮辱されることは本当に腹に据えかねるのだ。

 私だけならまだいい、主人であるバルガスが言うのなら構わない。しかし、こんな穴にペニスを突っこむことだけが目的の低能な雑魚どもが、あの綺麗で優しい母を麻薬の力で言いなりにさせていることを妄想していると思うだけでも、私はついカッとなってしまうのだった。

「――ふ、ふざけないでっ! いくらバルガス様の命令があるからって、そんなっ……うぎぎいぃいいぃッ♡!?」

 こうなるのは分かっていたことだった。挑発されて、私が怒って、わざとそこを叩きつぶすつもりなのは目に見えていた。

 声を鋭く反抗の言葉を吐こうとしたところで、私の首に逞しく鍛えあげられた腕がおそろしい力で食いこんできた――。

「あ? なにか言ったか?」

「あ、がッ、ぐぎッ……!! ぐ、ぐるぢ、ぃッ……!!」

「その通りです、って言おうとしたんじゃないのか? メイド・母親ともども雌豚として可愛がってくださいってな」

「いやいや、どう考えても怒るような口振りだっただろ? きっと、これから自分を可愛がってほしいのに、俺たちが別の女のことを口にしたからムッときやがったんだ。あんな下品な身体の母親より私を見てー、ってな」

「ぐぐッ、あ、いぎッ……!! あッ、ぁ……!!」

 けらけらと笑いあう男たち。笑う震動で腕がさらに食いこみ、呼吸がどんどん苦しくなる。

 脳に酸素が送られず、想像以上にすぐ頭がくらくらとしはじめる。全身に力が入らなくなり、心臓が焦ってバクバクと暴れだす。

(や、ヤバっ……これ、し、死んじゃうんじゃ……)

 だが、チンピラどもは見下すような目で私を見ているばかり。

 気を失いそうな私を助けてやろうとする人なんて、いるはずもない。

「まぁ、なんにせよ……」

 薬瓶を持った男が、それを手のひらに握りしめてグーを作った。

「このメスガキには、一度男の腕っぷしだけで死にかける思いも味わっておいてもらわないとなぁ……?」

 と、彼が言ったかと思った瞬間――私の目の前に、薬瓶を握りしめた拳が真っすぐ飛んできて……。

 ゴギッ!

「んぐぎぃッ!」

 私は鼻をつぶされるような強烈な痛みを味わい、それと同時に失神した――。

「あえっ♡、あっあっあっあっ、ンおおぉっ、おおぉーっ♡!!」

 気がついたのは、そんな下品な喘ぎ声のうるささによってだった。

 私は朦朧とする意識で、かすむ目でキョロキョロとあたりを見回した。

 ひどく頭がくらくらし、今も首のところが息苦しい。右の鼻の穴からは鼻血が垂れ、それが口の中に入って鉄の味がした。

「おっおっ、あっ♡、あぅっ♡あぁあぁぁっ……♡!」

 苦しいのに、声を抑えられないといったような情けない声。発情したメス犬かメス豚が上げるようなみっともない声。

 私はぼんやりと今の状況を想起し、セラがこの部屋にいたことを思い出した。きっと、この下品な声はセラだろう。

 そう思って、彼女の姿を探した。

 セラはすぐに見つかった。

 いつの間にか、セラと交代で私がベッドに上げられているようだった。彼女は逆に、使用済みの使い捨て道具のように、床にぞんざいに投げ置かれていた。

(あれ……?)

 だが、セラは犯されていなかった。

 膣から精液をだらだらと流し、床に倒れこんで幸せそうにピクピク震えているけれど、今は外から乱暴をうけることなく静養しているところだった。

「あっ、んあぁっ、おっおぉっ……♡!」

(だったら、この声は……?)

 明らかに性器を刺激されている最中のそのはしたない声は、果たしてどこから出ているのか……と思った瞬間、パッと脳のスイッチが入ったように、私は寝ぼけた意識が起きるのを感じた。

 そして、気づく。その下品な喘ぎ声は、まさしく私自身の口から漏れていた!

「おおぉーーっ♡、おひっ♡、あぁあっ♡!あっあっああぁーっ♡!!」

 それに気づいた途端、喘ぎ声は一気に大きくなった。

「おっ、ようやく起きやがったな?」

「寝ぼけたままじゃ反応が薄いからな。これでようやく楽しめるぜ」

「ああぁーんっ、あっあっ、いやっ、ああぁあぁおひぃいぃーーっ……♡!!」

 ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ――と、私はすさまじい勢いで自分の膣が刺激されているのを知った。男の太い指が挿入され、気持ちいいところを潰すようにしている。

 急に身体にもスイッチが入り、その刺激が一気に私を悶えさせた。

 思わず、暴れようと手足をジタバタさせる。

 だが、それはあらかじめ封じられていた。別の男たちが私の手足をつかんでいた。

「オラッ、目覚めたところでもう一発失神しとくか?」

「うぐぎぃッ、かはッ……!! あ、がッ……!!」

 今度は、またしても気道と頸動脈を絞められる感覚。

 私を失神させた男の腕は、今でもずっとこの細い首に巻きついているままだったのだ。それが再び力をこめ、私の呼吸を妨げた。

(ひぃっ、死ぬっ、死ぬぅっ……!! また死ぬっ、息できなくなるっ……!!)

 単に酸欠でくらくらする以上に、フッと蝋燭(ろうそく)の炎が消えるように意識が飛ぶ瞬間を予感させる、独特なくらくらが私をまた襲った。

 さっきとは違い、一度失神した直後だからか、そうなるまでにかかる時間は極端に短くなっていた。

「オイ、また寝ようとしてんじゃねーぞ! 起きろ豚がっ!」

「いぎぃいぃッ、あががあがッ、いだっ、いだいぃぃっ……♡!!」

 失神する寸前で私を叩き起こすのは、乳首に走る強烈な痛みだった。

「また寝たらこのよく伸びる乳首、引きちぎるからな?」

「ぎぃいぃっ、うぎゅっ、ごほごほかはッ……♡!! おげっ、ごぽっ、ぷぎぎぎぎっ……♡!!」

 首を絞められているのに叫ぼうとするから、私はむせ返った。だが、むせ返るための空気すら乏しいところで、代わりに私が口から出したのはトロトロとした涎だった。

 それは泡立ち、ぶくぶくといいながら口の周りを汚していく。垂れていったものは、首を絞めている男の腕を滝のように流れていく。

 こんなふうに殺されかけているのに、それがおそろしいくらい気持ちいい。このまま天国に昇っていってしまうような…苦しくて痛くて、それなのに身体は泡をふきだすくらい感じている。

 私はベッドに大量の薬瓶が転がっているのを見た。さっき、セラが使われて捨てられていた数から明らかに増えていた。

 そう思うと、身体の数ヶ所が注射後のあの痛みを抱えている。腕や、おっぱいや、股間や、太ももなど。

「ぐぎッ、ごぎあががごぎッ、かッ、はッ……♡!! き、きぼぢぃ、ぃぃっ……♡」

「へへっ、やっぱり雌豚ってのは情けないな。こんな手荒にされて、嬉しそうに笑ってやがる」

(気持ち、いい……! 気持ちいい、気持ちいいっ……!

 痛いのも苦しいのも気持ちよすぎるっ、おまんこぐちゅぐちゅ凄すぎるっ……!)

「い、イグッ、イギますぅっ♡…イグッ……♡!!」

 口からよだれの泡を飛ばしながら、心底から搾りだすように私はアクメの予感を男たちに申告した。

「まだだ。イクのは、さっきの質問の答えを言ってからだ」

 そう言って、ある男が私の前にきて私を見下す。

 その男は、さっき私の鼻をグーで殴ったやつだった。折れてはいないが、血を垂らした鼻がズキズキと痛んだ。

 鼻血がまだ止まらないのは身体が興奮して血圧が上がっているせいか、もしかすると麻薬の影響かもしれない。だが、その小さな失血のせいでさらに頭がくらくらしているのが確かだ。もっとも、それもまた気持ちいい感じにしかないらないのだが。

「ほら、言えよ。雌豚風情が殿方様に生意気な目をしたら、それだけでお仕置きされるのは当然だよなぁ?」

「ぐがっ、あ、ぅ……♡!」

 彼の手は、また固く拳を握っていた。

 力を溜めこむようにして、それを構える。今度は腕の角度は上向きでなく下向きで、私はそれがお腹に向けられていることを察した。

(し…子宮♡っ!お腹っ、ドスンドスンって殴る気だっ……♡!

 あ、ああぁ……ひどいっ、ひどいぃっ……♡!!

 私がここで『はい』って言ったら、お仕置きだって殴る気なんだぁっ……♡!)

「あー、お前の母親もそのうちボコボコにしてやりたいもんだ。俺たちの足音を聞くだけで、まんこ濡らして全裸土下座しちまうような雌豚に調教してやる」

(まっ、またお母さまのことを侮辱してっ……! このっ、ゆ、ゆるせないぃっ……!)

「さぁ、どうなんだ? さっさと答えてもらおうか、副団長さんよぉ」

(ふざけないでよねっ――!

 私もセラもお母さまもっ、貴方たちみたいな下賤な男たちの言いなりになるほど卑しい女じゃないわっ――!)

 と、そう叫ぼうと思った瞬間――。

「はひぃいいぃッ、しょ、しょうれしゅぅッ……♡!! 生意気なめしゅ豚はおしおきぃッ……♡!! お仕置きひてぇ、二度と生意気になりゃないよう、飼い主様に逆らわないようにぃ♡、ボコボコにしゅりゅべきれしゅうぅッ……♡!!」

 ――私は満面の笑みで、お腹を反らせて男に差し出しながら、そんな言葉を叫んでいた。

「へぇ、そうかよ。だったら、さっそく……!!」

 ドゴッ――!!

「ごほぉッ、おえっ、おえええぇえぇぇッ♡!!」

 鈍く重い痛みが、私のお腹に落とされた。

「オラッ、オラッ!」

「ごがッ、おぼぉッ、んえっ、おえええぇえぇぇッ♡!!」

 ドゴッ、ドゴッ――と躊躇なく岩のような拳がパンチをくらわせてくる。

 力の入らないお腹はもろにその衝撃を受け、体内で内臓が悲鳴をあげるのを感じた。胃、腸、肝臓、そして子宮――。

「反省しろっ、この雌豚がっ!」

「おごごッ、あぐぅうぅッ……♡!! ひゃ、ひゃいぃッ……!! はんしぇー、ひ、ひまひゅうぅっ……!!」

「雌のくせに生意気な態度とりやがって! このっ、謝罪はどうしたっ!」

 グチュッ、グチュグチュグチュ!

 ドチュッ!ボチュッ!ドチュ!

 激しく指で掻き回される膣の激しい快楽と、殴られる臓物の鈍い痛み、その両方に刺激されビクビクと痙攣する子宮。

 もはや混乱した脳と子宮は、指と拳どちらで感じているのか判断が出来ない。

 殴られる度に膣からは白濁した本気汁がぶちゃぶちゃと吹き出していた。

「あええぇえぇッ、おぉッ、おええぇッ……♡!! ごほっ、あえっ、ゴホゴホッ……♡!! ひゅ、ひゅみまひぇんれひらぁッ……!! セラのぶんもっ、お母しゃまのぶんもっ……ぜ、全部の雌豚を代表ひてっ、あ、謝りまひゅうぅぅッ……♡!!」

「そらっ、イケこのマゾ豚ッ! 腹殴られてアクメしろっ!」

 ドゴッ――!!

「ぅごぉおおぉッ、おえっ、あげへぇえぇぇッ……♡!! イグッ、イグぅッ……♡!!」 い、ギまじゅうぅぅッ……♡!!


 ぷしゃっ、ぷしゃああああぁぁぁ――っ!!

 私は激しく潮を吹いて絶頂した。

 手で膣をかきまわす男によって、その潮はとめどなく溢れ出した。

 ――それから、私は副団長の務めを果たした。

 部下に貸し与えられた奴隷として、彼らのことを気持ちよくするために精根を費やした。

 太いペニスが膣を突いているかと思うと、今度は目の前にもペニスが現れる。

 仰向けに倒され、喉を真っすぐにさせられたかと思うと、口の中にそれがぶちこまれる。

「んぶぷぶふぅッ、おごッ、ごぼごごごッ……♡!!」

「喉でシゴけよ、豚っ! セックスするみたいに腰振ってやるからな!」

「おごっ、ぐぽっ、ぐっぷぐっぽごぽごぼぶッ♡! じゅぷぼッ、ぶぼごぼぶッ♡!」

 長くて太いペニスが喉を占め、息なんてもちろんできなくなる。かろうじて鼻から空気を吸おうとしても玉袋に押し付けられ鼻を塞がれる。今日はさんざん窒息に悩まされながら、私はそれでも命令に忠実に喉を締めた。

 嗚咽を漏らす間もないくらい、激しいピストンが喉を襲う。上の口と舌の口を、同時にセックスされている。

「ガキのくせにデカパイ揺らしやがって、こうしてやるっ!」

 バチィィィンッ、という音とともに強烈な痛みが乳房に走る。

 私はおっぱいまでビンタされながら、全身をガクガクさせて快感に悶えた。

(きぼぢいぃッ、きぼぢいいぃぃッ♡!! にゃにこれっ、にゃんで、こんなにきぼぢいぃのよぉッ♡!!)

 アズライト家の一人娘。この国を背負う天才美少女魔術師。

 それがこうして雑兵たちに娼婦以下の、ペニスを気持ちよくするためだけの肉穴サンドバッグとして使われるなんてことがあっていいはずない。

 しかし、私の目は輝いていた。

 また酸欠と痛みと快感に溺れ、鼻血を垂らし、頭がくらくらと失神しそうになるのを感じながら、目だけは爛々としてよろこびに溢れていた。

「おおっ、マンコが痙攣してやがるっ! 気持ちいいぜこのっ! オラッ、オラッ! セックスで死んじまえこの雌豚っ、もっと締めろマンコっ!」

「舌も動かせっ! バキュームが足りないんだよっ! このっ、オラッ! 喉で孕ませてやるからなっ!」

 ばちゅんばちゅんと股間に打ちつけられる腰。

 べちんべちんと顔に叩きつけられる玉袋。

 私は叫ぶに叫べず、くぐもった嗚咽だけを漏らしながらアクメしていた。

 セックスされている最中の膣からビシャビシャと潮が吹き、壊れた水道のようにとまらない。

 ぶびゅっ、と音がしそうなほど強くペニスが脈打ち、口と膣が同時に精液漬けにされる。

 子宮が温かくなる感覚と、喉が粘液で浸される感覚。それだけで、私はまたアクメに達しそうだった。

「おい、お前はいつまで転がってるんだよ! そろそろ起きて一緒にご奉仕しねぇか、このグズッ!」

 そんな怒号を浴びせられながら、失神しかけていたセラは蹴り飛ばされていた。

 エッチなお尻を踏みつけられながら、よろよろと起きあがる。男は乱暴に髪をつかんで引っぱり起こし、私のいるベッドにセラも押し倒す。

 私も体勢を変えさせられ、休む間もなく次のペニスに犯される。二人してバックで犯されて、鏡のように向かい合わせにされる。

 セラが震える手を差しだしてきて、私はそれを握った。そして、互いの身体を支えあうように頬と頬をくっつけ、うっとりしている目を横目で見合った。

「しゅ、しゅごぃッ……♡! お、男の人って、しゅごいぃッ……♡!」

「は、はいぃ……り、リア、しゃまぁ……♡! すごぃ、れすぅ……♡!」

 私たちの中には、もう家柄だの実力だのという意識はなかった。

 彼らは男、それだけで十分だ。男というだけで、私たち雌を支配する資格があるのだ。雌にはすべての男に屈服する義務があり、そういう本能がある。抵抗したって、ペニスのにおいを嗅がされるだけでおしまいなのだ。

 それから、私はセラに告げた。

 セラがバルガスの手中に落ちたのは私の策謀だし、それはセラのこういう姿が見たかったためだということを。もっともっと、セラを汚して、私も一緒に汚れたかったということを。ずっとずっと、一緒に男に虐げられるマゾな雌豚として生きていきたいということを。

 セラはよろこんでくれた。にっこりと、綺麗な顔に嬉しそうな笑みを浮かべて言ってくれた。

「嬉しい……♡ ありがとうございます、リアさまぁ……♡」

 すると、私たちを犯している男たちがの卑しい雌豚達のお尻を鋭く叩く。

「おい、感謝する相手が違うだろうが! 女なんていくらでもいるのに、お前たちを選んでやった俺たちに感謝しないといけねぇだろ!」

「しゅ、しゅみませんっ……♡!! ありがとうございますっ、ありがとうございますぅっ……♡!!」

「わ、わらひもっ、ちゅかっていたらいて、ありがとうございまひゅぅっ……♡!!」

 そうだ、私は貴族で天才魔術師で美少女で――誰よりも恵まれている。世界で五本の指に入るくらい、優秀で完璧存在だ。私は世界のほとんどを見下せる存在なんだ。

 ただし、それは私が「人間」だったなら、という話だ――。

 私は、人間じゃない。雌豚なんだ。

 産まれたときから女(ブタ)なんだ。だから、どんなに優れているように見えても、絶対に人間様以下なんだ。

 この男たちは男性に産まれたというだけで偉大で、尊く、敬拝すべき素晴らしい存在なのだ。

 雌豚奴隷で家畜奴隷で肉便器奴隷の私には、何度生まれ直しても手の届かない、男という天上の人々なんだ。

 それなのに、この人たちは私のような肉便器を使って、虐待して、排泄してくれる。大事な大事な精液を吐きだし、殴ったり叩いたりして私を教育し、アクメさせて雌としてのよろこびまで与えてくれる。

 そう、彼らは神のように偉大で慈悲深い方々――!

 男様――ありがとうございますっ♡!

 バルガス様っ……私、分かりましたっ!

 男という存在の素晴らしさを、バルガス様のおかげで知ることができましたっ――!

 どくどくっ――と、また私の膣内に精液が出された。

 ――そして、夜が明ける。

 一晩中、私たちのような雌豚を使ってくれた彼らに、私とセラは最後のアイサツをする。

 なんだか、この部屋に連れてこられたときよりも私たちは身も心も活き活きとしているようだった。

「み、皆さまっ……♡!」

 汚れた床の上にセラと横並びになって、私たちは正座する。

 そして、恭(うやうや)しく三つ指をついて媚びた笑顔を浮かべ、感謝の意を告げるのだ。

「私たちで気持ちよくなってくださって、本当にありがとうございましたっ♡」

「これまで女の分際で分不相応な態度をとって申し訳ありませんでしたっ♡」

「これからは身の程を弁えて、私たちのために勃起してくださる男の方々にはペコペコして生きていきますっ♡」

「また私たちがバルガス様から貸し与えられたときには、お好きなだけ射精してくださいっ♡」

「今後もどうか、セラとともに肉便器としてご愛用くださいっ♡」

 そして、二人で同時に頭を下げる――。

 居並んで見下している男性様たちに心の底から感謝と敬意をこめて、額を床にこすりつけた。

「おらっ頭あげていいぞ、雌豚ども。改心したお前たちに、ご褒美をくれてやる」

「あっ♡」

 顔をあげると、彼らはペニスを手で持ち、私たちの方に尿道口を向けていた。

 何をしようとしているか、私もセラも瞬時に理解して、大きく口を開け広げた。

「ん、あ~~んっ……♡」

「あ、あぁ~~……♡」

 ジョボジョボと降り注ぐ、黄色い液体たち――。

 私たちの顔や口はみるみるうちにアンモニア臭いおしっこで汚されていった。

「あ、ありがとうごじゃいまひたぁ……♡」

「とっても、幸せれすぅ……♡」

 男たちは私たちを見下し、ニヤニヤと蔑んだ笑みを浮かべ、雌豚たちを罵倒する。

 そんな彼らの笑顔を見るだけで私たちの胸にはじわっと雌豚の喜びが広がり、子宮が甘イキを繰り返す。

 そうして、私たちは何度も何度も歓喜の涙を流しながら土下座をした。

 床にこぼれた小便に顔をすりつけ、靴で身体も髪も踏みつけられ、イキながら数えきれないくらい感謝の言葉を口にした――


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Piss can be beautiful小便は美しい