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エルフ。

大地に愛された女神の娘たち。

精霊の加護と、神々の寵愛を受け、彫刻のような美貌を持ち、聡明な頭脳、盟約に基づき原初の精霊術を駆使する。

そしてなにより、長命であった。

正しくは彼女たちが作られた神代の世より3000年余り、新しく産まれたエルフもいなければ死亡したエルフも存在しなかった。

この不滅で悠久の人生は彼女たちを劣化させる原因となった。

女神の写し身たる光り輝く美貌も、山を砕き海を割り生物を蘇生する精霊術も全て3000年前から変わらず横溢であったが、

「退屈」という病魔は彼女たちの脳を静かに殺していった。

平坦平穏な生活を暮らす彼女たちは痛みや死という刺激に憧れるようになる。

だがどんな致命傷も彼女たちが神々と精霊の庇護を受けるエルフである以上必ず治癒し、

その赤子よりも柔らかく絹よりも滑らかな白肌には一筋の傷跡すら残る事はない。

やがて彼女たちの破滅への憧憬は殺せない自命の代わりに自尊心を殺し始めた。

自ら外界に降りて奴隷に堕ち、その凄惨な扱いを刺激として悦んで受け入れたのだ。

劣等種たる人間やゴブリン、オークといった神々に捨てられた動物の奴隷としてエルフは盛んに利用された。

どんな手荒に扱っても壊れる事がなく、どのような行為も刺激として喜んで受け入れる被虐性。

エルフは最高の肉便器であった。

しかし奴隷は歳を取らず、主人は老い、数百年に渡り何代も利用される中で飽きが訪れる。

その蜜月も終わりかと思われたある日、とある人間のスラムの、エルフを切り刻んで楽しむ最底辺の娼館で、とあるものが発明される。

「エルフの耳掻き」

そう名付けられた道具は、棘の返しが無数についた20~30cmほどの棒であった。

もともとはエルフの一番の性感帯である耳を虐げるものであったのであろうが、

これを耳の奥まで突き刺し、脳みそを掻き出す。

これによりエルフは過去最高の刺激とともに神々に愛撫されるかのような法悦を得ることが出来た。

しかし、これを施術されたエルフは再生する事が出来なくなったのだ。

人の魂が脳に宿るように、エルフの神聖性も脳に宿るという事が判明した瞬間である。

エルフの耳掻きにより劣肉に落とされたエルフ達は、傷つける事も殺す事も可能となった。

不死性に畏怖とともに種族差の不平等への脈々たる嫉妬心を血に秘めた人間たち劣等種は、ここぞとばかりにエルフ達の脳をえぐり出し肉に変えていった。

不死性に諦観し辟易していたエルフたちは、その刺激を求め我こそはと屠殺場に向かい加工されていった。


こうして3000年前から一人として人口が減ることがなかったエルフも、エルフの耳掻きが普及してから僅か1年半、

今では残り数匹しか生存が確認されていない。

だがそれは人間たちが望み、エルフたちも望んだ幸せな結末なのだ。

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Anonymous

Turns out their most distinct characteristic is their own downfall